自分は関東の某中核市で育った。
父親は自動車メーカーの社員で、ごく平均的な家庭だった。
ところが、自分が高校生のとき、その父親が脳卒中で倒れてしまい、状況が一変、大学への進学をあきらめて、就職することになった。
当時、姉が大学生で学費を払えないというのがその理由だった。
大学に進学するのであれば、工学部に進学して技術者になろうと考えていたが、その夢が断たれた。
高校卒業後、上京して米屋で朝から晩まで働いた。
20代になってからは酒屋、魚屋など仕事を転々と変えた。
20代半ばになったある日、ふと、10代の頃の気持ちがよみがえってきた。
「大学に行こう」と。